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技術情報

直流安定化電源 技術資料

当社製品を有効にご使用いただく上での技術情報です。部品及び用語の説明とその特性をご案内いたします。


■直流安定化電源ご注文・お問い合せページ先頭へ

直流出力の電源装置は、入力の種類によって大きく2つに分かれます。 一つは、交流入力から直流出力を得るもので、狭義のいわゆる直流安定化電源(直流定電圧/定電流電源)、もう一つは、直流入力から入力時とはちがう電圧電流の直流出力を得るもので、DC/DCコンバータと呼ばれるものです。 直流安定化電源(直流定電圧/定電流電源)は、さらに用途によって、計測器等の各種試験に使用されるため電圧電流値を自由に調節できる可変型と、産業機器に定められた電圧電流を確実に供給するために機器内部に組込まれる「組込型」にわかれます。(可変型の一部高電圧の装置で電流固定の製品があります。)製品シリーズ毎にカバーする電圧、電流、容量が異なり、また、同じ電圧電流をカバーする装置であっても、精度を優先するかコストを優先するかで制御方式がかわってきます。まずは、必要な電源装置の電圧、電流値から該当する製品シリーズを絞り込み、細かいスペックを比較してみてください。 DC/DCコンバータは、入力電圧、必要な出力電圧、出力電流によって豊富なバリエーションがそろっております。

■交流安定化電源ご注文・お問い合せページ先頭へ

交流出力の電源装置は、商用電源や動力電源からの不安定な電流、電圧、波形、周波数などを安定させ精密な計測や負荷テストができるようにする装置です。 制御方式によって特徴があり、用途に応じて使い分けが必要です。 また、安定させるだけでなく電圧や周波数を連続可変させる電源装置もあります。

■入力電圧範囲ご注文・お問い合せページ先頭へ

標準品は、単相・三相共に定格電圧の±10%です。100Vの場合90~110V、200Vの場合は180~220Vの範囲でご使用下さい。

■入力周波数ご注文・お問い合せページ先頭へ

標準品は全て50Hz、60Hz共用です。周波数範囲は48~62Hzと広範囲にご使用いただけます。

■トランスの静電シールドご注文・お問い合せページ先頭へ

当社の直流安定化電源はスイッチング電源を除き、全機種静電シールド付トランスを使用しています。静電シールドとは外来雑音の侵入を減少させるためのものです。

日本スタビライザー工業株式会社

■入力端子(入力電源)ご注文・お問い合せページ先頭へ

入力電圧が単相100V系の場合、プラグ付きACコード又は端子台、それ以外の入力電圧は端子台となります。

■入力端子、ショートバーご注文・お問い合せページ先頭へ

直流安定化電源の出力端子部にはショートバーが接続されている機種があります。(高圧電源及びSICシリーズを除く)通常は図2の様に(-)側を接地して(+)出力に設定してありますが、図3の様にショートバーを移動させ(+)側を接地して(-)出力に極性を変えることができます。また(+)側、(-)側共にGに接続せずフローティングとして使用することもできます。

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■リモートセンシングご注文・お問い合せページ先頭へ

電源端子部で出力電圧が適正であっても出力端子と負荷端子との間に線間ドロップ(電圧降下)が生じます。線間ドロップは線径や長さにより異なりますが、これを補うために用いるのがリモートセンシングです。図5の様に負荷端子部において電圧を検出し、電源本体制御部にて線間ドロップを補います。

日本スタビライザー工業株式会社

リモートセンシングをご使用の場合

  • センシングに用いる線は必ずシールド線をご使用下さい。シールド側を接地してください。線間ノイズ、雑音、及び発振を防ぐためです。
  • ショートバーが付いている機種は、必ずはずしてご使用下さい。
  • センシング線長は5m以内(往復)が最適ですが、5m以上でもご使用いただけます。その場合、出力線の線径を太くする等の処置が必要です。負荷条件により、リップル安定度が変わることがあります。
  • 発振した場合、負荷側の+、+S間、-、-S間にもコンデンサーが必要な時もあります。
  • リモートセンシング使用中(通電中)に電源と負荷との線をはずさないようご注意下さい。内部抵抗を損焼する場合があります。
  • 線間ドロップは合計で0.5V以下となる様、線材(電線)を選んでください。

■出力電圧精度ご注文・お問い合せページ先頭へ

入力変動
入力電圧を±10%変化させた時の出力電圧の変動値です。
負荷変動
無負荷(0%)から全負荷(100%)まで出力電圧を変化させた時の出力電圧の変動値です。但し、過渡的な値は含みません。

■リップルご注文・お問い合せページ先頭へ

直流安定化電源は主に入力として交流(AC)を使用します。そのため、整流回路を経た後、平滑回路を通しますが、微小の交流成分が出力に含まれます。この交流成分をリップルと呼び、一般に実効値(RMS)又はピーク値(p-p)で表示します。当社では通常mVまたはμV(R.M.S.)で表示します。リップル電流はリップル電圧を出力インピーダンスで割った値で表します。

■ドリフト<Ⅰ>(経時ドリフト)ご注文・お問い合せページ先頭へ

入力電圧、負荷条件、及び周囲温度が一定に保たれても出力電圧、出力電流は不規則な微小変化を生じます。これを時間経過によるドリフトと言います。

■ドリフト<Ⅱ>(温度係数)ご注文・お問い合せページ先頭へ

出力電圧又は出力電流は部品等の温度変化及び周辺温度によって可逆的な変化を生じます。これを温度係数と言い、mv/℃又はppm/℃で表します。ppmはpsrts par milion の略で1/1,000,000を表示100ppmで0.0001です。36Vの場合3.6mVになります。

■出力インピーダンスご注文・お問い合せページ先頭へ

定電圧の場合、通常の負荷変動の値を負荷電流の変化した値で除したものを出力インピーダンスと言います。0~10Aの変化に対して負荷変動値が10mVであれば出力インピーダンスは1mΩとなります。定電圧電源では0、定電流電源では無限大となるのが理想ですが、周波数によって変化します。

日本スタビライザー工業株式会社

■過電流保護回路(OCP)ご注文・お問い合せページ先頭へ

過電流保護回路には、限流特性の自動復帰型、定電流垂下の自動復帰型及びしゃ断型の三種類があります。当社の直流安定化電源には機種によりいずれかの保護回路が標準内臓されています。負荷及び負荷条件により適さない場合がありますので本説明書を参照、もしくは当社営業部までお問い合せ下さい。

■限流特性の自動復帰型(フの字特性)ご注文・お問い合せページ先頭へ

<機器組込用パーレックシリーズ標準内蔵>

日本スタビライザー工業株式会社

負荷抵抗値が減少し、出力電流が過電流になり、さらに抵抗値が減少した場合、図6のb点からc点までの動作軌道を描いて出力電圧と出力電流が同時に減少し電源装置及び負荷装置を保護します。負荷抵抗RLが増加しRC(=Vs/Is)値内に戻ると出力電圧は正常値に自動復帰します。
(注)
この保護回路ではモーター、電球、コンデンサ負荷、電磁石等くりかえし起動電流の発生する負荷には使用することができません。これ等の負荷をご使用の場合、定電流の自動復帰型をご指定下さい。機器組込用パーレックシリーズはオプション仕様となります。

■定電圧、定電流の自動移行型(クロスオーバー)ご注文・お問い合せページ先頭へ

<定電圧/定電流電源MSA、SIC、NCH、NCG、NHG、NGR、HVF各シリーズ標準内蔵>
負荷抵抗RLが図7においてRC=Vs/Isより小さな時は定電流モードとして動作しb~c間の軌道を描きます。

日本スタビライザー工業株式会社

一定の出力電流で負荷電流値が定格又は出力電流設定値を超えた時点で出力電圧のみ垂下します。この時、出力電流は一定で出力電圧はIs×RLとなります。また、出力端子において短絡状態(RL=0)の場合、図7においてI out=Is、V out=0となります。負荷抵抗が増加することによりc点→b点→a点の軌道を経て定電圧動作に自動復帰します。ご不明な点がありましたら、当社営業部まで、お問い合せください。

■定電圧特性範囲及び定電流特性範囲の設定ご注文・お問い合せページ先頭へ

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■CV.CC.動作表示ご注文・お問い合せページ先頭へ

SIC、NCH、NCG、NHGシリーズにはCV表示(定電圧動作時)とCC表示(定電流動作時)のLEDが正面パネルに付いています。

■過電圧保護スタビック回路(PAT)ご注文・お問い合せページ先頭へ

ご使用になる出力電圧を任意の電圧値に設定するだけで過電圧設定ができます。今までの様に出力電圧を設定した後、過電圧用ボリュウムを動作させる必要はありません。

■外部要因によるスタビック回路の動作ご注文・お問い合せページ先頭へ

外部(負荷)より、ノイズ、パルス、および過大電圧印加等の異常をキャッチした時、出力設定電圧の約120%で出力電圧を高速しゃ断します。復帰は入力スイッチの再投入で自動復帰します。

■内部要因によるスタビック回路の動作ご注文・お問い合せページ先頭へ

電源回路の制御系回路が万が一何らかの原因により故障した場合、過電圧が発生する事があります。これらの過電圧発生には、出力又は入力を高速にしゃ断し、負荷を保護します。

■リモートコントロール機能ご注文・お問い合せページ先頭へ

SIC、NCH、NCG、NHGシリーズには、外部アナログ信号による電圧(電流)可変および出力ON、OFFのリモートコントロール動作端子が装備されています。

  • 0~10Vのアナログ電圧信号により、0V~定格最大電圧および0A~定格最大電流まで任意に可変が遠隔操作できます。0~10V信号発生器は高分解能、高精度品をご使用下さい。入力電流は5mA以下です。
  • 信号側のリード線がオープンになった場合、電源側の出力電圧は0Vになります。
  • 配線は必ずシールド線を使用してREMOTE、VOLT(CURR)《+》《-》端子に正確に結線して下さい。
  • 出力のON、OFFがリモートコントロール端子の接続により遠隔操作できます。この信号は接点信号です。接点信号は5mA以下です。クロス(メイク):ONオープン:OFFとなります。

■直列接続(出力電圧加算)ご注文・お問い合せページ先頭へ

数台の直流安定化電源を直列接続することにより、加算された電圧値を得ることができます。この場合、電流値は数台中の最小電流値しか得ることができません。しかし、出来る限り同じ電流値のものを使用して下さい。短絡、過電流時に破損する事があります直列時の加算された出力電圧は電源装置の出力回路とGND間の耐電圧まで可能ですが、加算された電圧は500V以内でご使用下さい。出力電圧を加算した時、各電流装置の出力端子及びリモート端子等には高電圧が印加されますので取扱いには充分注意して下さい。

■並列接続(出力電流加算)ご注文・お問い合せページ先頭へ

数台の直流電源を並列に接続することにより、加算された電流値を得ることができます。この場合、電圧値は数台中の最小電圧値しか得ることができません。実際に使用する時は出力電圧に合わせて下さい。電源装置保護のため逆流防止用ダイオードを図9の様に各装置に必ず取りつけて下さい。逆流防止用ダイオードは許容電流値(60~80%使用が理想)に充分注意して下さい。逆流防止用ダイオードを取り付けない場合、出力端子に過大電流(許容量電流以上)が流れ、電源装置を損焼することがあります。

日本スタビライザー工業株式会社

■誘導容量負荷についてご注文・お問い合せページ先頭へ

バッテリー、モーター、コンデンサー、磁気コイル等の負荷をご使用の場合、図10の様に逆流防止用ダイオード又はシャントダイオードを取り付けて下さい。逆流電力による電源装置の損焼を防ぐためです。場合によっては冷却ファンをご使用ください。

日本スタビライザー工業株式会社

■初期不良の防止についてご注文・お問い合せページ先頭へ

当社製品は特性検査後全機種、最大出力電圧、最大電流にして8時間以上のエージングにより初期不良を防止しています。また、エージング後、全数特性検査を再度行っています。使用部品の中には温度変化、使用回数等により故障率の高くなるものがあります。例えば、電解コンデンサーは周囲温度と経年変化、冷却ファンは可動時間等です。直流安定化電源を高精度で永くご使用いただくために周囲温度及び湿度が低く風通しのよい直射日光の当たらない所に水平に設置してご使用下さい。永年ご使用いただきますと内部にほこり等のたまる場合が考えられ、内部放熱器等の能力が低下し故障の原因となる事があります。極力、使用環境には注意して下さい。

◎お客様で、電源装置のケースカバーを外さないで下さい。お客様で取り外された時の障害が多く発生しています。